22.雪と裸足
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意を決して、一面真っ白な銀世界に、裸足で足を一歩踏み入れた。想像していたほど、冷たくなかった。
瑞波「…あれ?そんなに冷たくないかも。しかもフワフワしてて何だか気持ちいいくらい。これならいける!…」
しかし、その考えはすぐに否定されることとなった。
瑞波「…やっぱり冷たい!!あとからめちゃめちゃ冷たい!!これはキツいかも…!」
瑞波は冷たさのあまり、歩き方がおかしくなっていた。
美波「もー、言わんこっちゃない。だから靴貸すよって言ったのに。」
瑞波「なーに!じきに慣れるって!」
そうは言ってみたものの、既に足の感覚はとうの昔に無くなっており、刺すような冷たさだけが残っていた。
瑞波「うぅぅ!つっめたっ!!」
思わずその場に座り込み、裸足のつま先を手で掴んだ。
美波「やっぱり、無理あるんじゃない?まだ学校出たばっかだよ?家まで15分ぐらい歩くっていうのに。」
瑞波「ちょっと休憩するだけ!待たせるの悪いし美波は先帰ってて。私は大丈夫だから。本当に大丈夫だって!」
美波「1人で置いてく訳にはいかないよー。私も待ってるからさ。」
瑞波「いいよー、本当に気にしないで!先帰ってて!瑞波からのお願いだよー?友達のお願い聞いてよー」
美波「もう、そこまで言うんだったら、本当に先帰っちゃうからねー」
瑞波「うん!そうしてー!じゃ、また明日ね!」
美波「うん、また明日ー!家まで帰るの、頑張ってよー」
瑞波「うん!ありがとー」
美波は温かそうなブーツを履いて歩いて行った。
瑞波はまだ足から手を離せないでいた。
瑞波「…冷たすぎる…!これは拷問に近いよ…。」
瑞波は裸足生活史上、過去最大の壁に直面していた。
5分ほどその場に座り込んでいたが、意を決して立ち上がったかと思えば、猛ダッシュで走り出した。
瑞波「冷たさを感じる前に地面から足を離すようにすれば大丈夫っしょ!!」
しかし、そう甘くはなく、走り出して間も無く足に冷たさが襲う。瑞波はお構い無しに走り続けた。必死に冷たさをこらえて、無我夢中で走った。
目の前で信号が赤になる。瑞波はその場に座り込み、足に息を吐いたり、足裏同士をこすって温めたりした。その瞬間は温かくなるのだが、すぐに冷たさが戻ってくる。
瑞波の足は、まるで足湯でも入った後かのように真っ赤になっていた。
足の裏は、雪が地面を覆っているおかげで全く汚れていないが、真っ赤になっている。
信号が青になった。瑞波はまた猛ダッシュで走りだした。
瑞波「…冷たすぎて足の感覚が無くなってきた…でも冷たさだけはビシビシ伝わってくる。。キツいねー、これ。…」
瑞波は冷たすぎるあまり、おかしくなって楽しんですらいた。
家に帰ると、一目散にストーブの前に走った。
瑞波「ああーー、天国だー!!」
瑞波の母「もー、こんな時にまで裸足で行くことないんじゃないの?」
瑞波「へへ…。でも雪降るなんて聞いてなかったからー!」
こうして、一足早い冬が訪れた1日が終わった。